CNC部品設計で見落としがちな6つの考慮点
いいえ、一般的なCNC設計の原則、例えば面取り、薄肉、深い穴などについては説明しません。これらの原則については、すでに十分に理解されていることと思います。経験豊富な機械エンジニアとして、効率的な製造、高品質、高精度を実現するために改善できる設計手法を多く目にしてきました。以下の6つの考慮点を念頭に置くことで、CNC部品設計の可能性を広げ、設計の潜在能力を最大限に引き出すことができます。

1. 熱処理後の部品品質を確保する

加工部品を設計する際、熱処理などの後工程の品質を考慮する必要があります。部品の鋭い角やエッジは、焼入れ時に応力集中を引き起こし、クラックの原因となります。したがって、焼入れ前に、段付き軸の肩部の根元には面取りを設け、軸端と肩部には面取りを付ける必要があります(図-1参照)。
 
また、部品の肉厚が不均一だと、熱処理時に変形が発生しやすくなります。適切にプロセス穴を追加することで、肉厚を均一にし、熱処理時の変形を防ぐことができます。

a) 元の設計

b) 最適化された設計

図-1:熱処理を容易にする軸の肩部構造

2. 取り付けやすい設計

CNC加工における取り付けとは、加工作業中に部品を固定または安全に保持するプロセスを指し、安定性と精度を確保します。取り付けやすい部品を設計するとは、部品を正確に位置決めし、安全に固定できることを意味し、加工効率を向上させ、部品の品質を確保します。

a) 元の設計 b) 最適化された設計

図-2:取り付け接触面の増加

図-2に示すように、元の設計では、3つ爪チャックで部品を固定する際、部品と爪の接触が点接触となり、部品を安全に保持できません。最適化された設計では、円筒部を追加することで部品と爪の接触面積を増やし、取り付けを容易にし、取り付けの信頼性を向上させています。

3. 大型平面部品にフランジまたはプロセス穴を追加する

大型平面部品は当初、加工プロセス中に安全に固定することが困難でした。部品にフランジを追加することで、部品の取り付けがより実用的で信頼性の高いものになります。フランジを使用することで、ボルトと押さえ板を使用して部品を安全に保持できます。また、フランジの追加により、部品の持ち上げと取り扱いが容易になり、搬送と操作がより簡単になります。

a) 元の設計 b) 最適化された設計

図-3 プロセスフランジまたはプロセス穴の追加

4. 工具の走行時間を短縮する

a) 元の設計

b) 最適化された設計

図-4 工具の走行時間の短縮

加工工具の走行回数を減らすことで、加工時間を短縮し、結果として加工コストを削減できます。図-4の元の設計では、異なる高さの特徴を加工する際、テーブルを個別に上げ下げする必要があり、加工時間が増加していました。最適化された設計では、異なる高さの複数の特徴を同じ高さに設計しています。これにより、すべての特徴を1回の工具走行で加工でき、生産効率を向上させ、相対位置精度をより容易に維持できます。

5. 加工面積を削減する

加工面積を削減することで、加工時間を短縮し、結果として機械加工のコストを削減できます。図-5に示すように、元の設計では、軸受部品の下面に大きな加工面積がありました。最適化された設計では、設計の最適化により加工面積が削減され、加工量と工具の消費が減少し、加工効率が向上し、加工コストが削減されました。また、部品の設計を最適化し、凸部や溝を追加することで、加工面積を削減することもできます。

a) 元の設計 b) 最適化された設計

図-5 加工面積の削減

6. 位置精度を確保するための設計

相互位置精度の要件がある面は、可能な限り1回の取り付けで加工することが望ましく、これにより加工面間の位置精度を確保し、取り付け回数を減らすことができます。図-6では、内側と外側の円筒面に同軸度の精度が必要です。元の設計では、外側の円筒面と内側の穴を別々に加工するために部品を2回取り付ける必要があり、同軸度の要件を満たすことが困難でした。

a) 元の設計 b) 最適化された設計 c) 最適化された設計

図-6:位置精度を確保するための部品設計

最適化された設計では、高台構造を追加することで、内側と外側の円筒面を1回の取り付けで加工でき、同軸度の要件を容易に満たすことができ、また加工コストも削減できます。
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